「あみもの」一首評 投稿:有村桔梗
ラーメンを八海山で割る業を来世のきみに引き継がせたい
/ 小泉夜雨『二〇十八回目のあくび』(『あみもの』 第十二号)
八海山は新潟の八海醸造でつくられる日本酒である。
そもそも日本酒を呑まないのでよくわからないが、ラーメン(のスープ)を日本酒を割ったら美味しいのだろうか、日本酒はそこまで指定しているのに、ラーメンは何ラーメンでもいいのだろうか、などという疑念は浮かぶ。
どこか酔っ払いの戯言のようでもあるが、おそらく本人にとってはとても大切な「業」であり、自分が生きている今生では他人に引き継がせることはできないと考えていて、さらに「来世のきみ」になら引き継がせてもいい、と思ってるのだ。なぜそれが今生ではないのかはわからないが。
余人にはおそらくどうでもよいであろう「ラーメンを八海山で割る業」のくだらなさ。それはどうでもいいことであればあるほど、くだらなければくだらないほど、本人にとっての真剣さが増すように思われるところがとてもよいと思う。
そしてその業を以て自らの存在が「来世のきみ」の中に生き続けるだろう、というところも。
評:有村桔梗(Twitter:@chattenoire_k)
0 件のコメント:
コメントを投稿